起業ってどう始める?STEP2|ビジネスプランを検証しよう

起業することや経営者になることのメリット・デメリットを理解されたみなさん、ここではご自身に最適な事業運営体制を考えるとともに、具体的なビジネスプランイメージを固めていきましょう。

 経営者として活躍されている方々の多くは、ビジネスプランを考えている時が一番楽しかったと口を揃えておっしゃいます。みなさんのイメージの中にしかないビジネスプランが、実際に商売として成立するものとして構築できるかというポイントにおいて徹底的に検証するこの時間はとても重要です。

  • ビジネスプランをイメージする時は『自分らしく』をテーマとして楽しんでやりましょう。
  • ビジネスプランのイメージが決まったら焦らず慌てず時間をかけて検証しましょう。

サービス範囲

 ビジネスプランをイメージする上で、重要になるのが『サービスの範囲』です。

『サービスの範囲』と聞くと、お客様に対する提供範囲を連想する方が多いと思いますが、ここで一番初めに考えるべきは、サービスの提供時間や活動エリアだとご理解ください。

あなたが展開するビジネスの内容によって多少の違いはありますが次のことを意識しましょう。

a・あなたもしくはあなたの会社がお客様と向き合う時間

b・あなたもしくはあなたの会社が展開するサービスの対象領域

 例えば、「チーズケーキ専門店を開業しようと考えていたけど、どうせなら多様なケーキも販売した方が良いよね?あと、それならタルトもクッキーもマカロンも取り揃えた方が良いよね?お客様のことを考えたら、ドリンクも販売すべきだし、その場で食べたいという方のためにイートインスペースも必要だよね。そうすると食事も提供した方が売上も増えるかもしれないし、ちょうど妹が調理師免許も持っていることだし、今回の事業に誘ってみようと思っているんだ、あ、そうだ、ちょうど妹の旦那が仕事探してたから配達や通販やっても面白いよね?」

 もしあなたが知人からこのような相談を受けたらどのようなアドバイスをしますか?

この時に重要となるのがサービスの範囲であり、対象領域および協力者の有無です。

これはなにも製造業、販売業に限ったことではありません。後段にて、近年人気の認定講座を例に取り、具体的なイメージを膨らませてみましょう。

 家族や協力者・共同経営者の有無

さらに、これらの『サービスの範囲』を考える上で協力者の有無は非常に重要です。

創業間もない時期や新たな事業に取り組む際に、新規雇用でまかなうことは大きなリスクを伴います。そんな時に家族のサポートが得られるかどうかはあなたのビジネスに多大な影響を及ぼすことは間違いありません。

また、共同で経営しようと考えている、または合意している方が居るとするならば、次項で考える『個人事業/法人』の選択においてすでに回答がでていることになります。

決して、家族や知人を巻き込んで事業範囲を広げましょうと言っている訳ではありません。

ご家族に直接的な事業協力をいただけなくても、それ以外のサポートを得ることで仕事に専念出来ることもあるでしょう。

そうした背景からも、家族や親しい方に起業への理解を得ることは初期段階においてはとても重要であることを理解しましょう。

個人事業・法人のメリットデメリットを知る

個人事業として起業する、または個人事業であるが副業でやる、仲間と一緒に法人として立ち上げるなどを選択した際に生じる違いは規模感だけに留まりません。

一般的には優秀な人材の確保や税率、事務作業の簡易などの違いといわれていますが、実際のところはどうなのでしょう。

双方の違いの中でも、押さえておくべきポイントを理解しましょう。

始めは、メリット・デメリットのウソホントの答え合わせです。ちなみに私は逐一調べたりしないので税率税法に関しては改正されている恐れもありますが、それぐらいはご自身で調べて下さい。

 よく聞くメリットデメリットの回答

a・法人は信頼があるというのはウソ
b・個人事業主は簡単というのはホントだが選択の理由にはならない

解説

a.創業して間もない法人、もっと言えば創業して3年未満の法人は上場企業の子会社でもない限り信頼などありません。

当然、新規の取引をするにあたって法人だから支払いサイトが貰えるとか、仕入率が安くなるなんてことも無いと思っていただいて構いません。

さらに言えば、上場企業とのお付き合いに際しては、独自のスコアリングにより取引自体が弾かれることも珍しくありませんのでご留意ください。

※ショッピングモール店舗出店(催事契約ではない)の場合、法人でないと契約できないことが大半ですが、契約締結の際に法人登記することでその問題は解消されます。

b.法人は登記に際して定款作成などの義務があり、面倒であるばかりか外注コストまで発生しますが、個人事業主は開業届けを出すだけで個人事業主になることが可能なため簡単だと言われています(厳密には開業後の届け出でも可)が、そんなことで選択するべきではありません。

 気になる税務上の回答

a ・個人事業主よりも法人のほうが税金面でお得というのはホント(少し複雑)
b・売上が1,000万までは個人事業主のほうがお得というのはほぼホント

解説

a.個人事業主の確定申告には白色申告・青色申告の2種類があります。

  • 白色申告(簡単)/単式簿記という形式での記帳が可能ですが控除額はない。
  • 青色申告(複雑)/複式簿記という記帳が必要になり単式簿記よりも複雑になる反面、控除額が大きく、節税メリットが大きい。

注意点

a.青色申告を希望する場合は開業届と共に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

また、個人事業主と法人の税金面での最大の違いは、個人事業主の場合、赤字の繰越が3年までしか出来ないという点です。(法人は10年)

b.売上が1,000万までは個人事業主のほうがお得というのはほぼホントの根拠としては、消費税の免税適用外となるのが1,000万であるということと、税率が上がる所得金額の境目として900万~1,000万としているということですので、あくまで目安だと理解してください。

  • 個人事業主/収入から経費を差し引いた所得すべてに所得税がかかる
  • 法人/自らが決めた金額のみを経営者の報酬としてその報酬に所得税がかかる。

税務上の押さえておくべきポイント

みなさんが一番気になる税務上のメリットもおさらいしておきましょう。

当然、全て理解しておくに越したことはありませんが、専門的なことは税理士に任せて売上を上げることに集中することをおススメします。

悲しいかな、世の中は結果論です。『会社の数字や税務の知識、税金への意識が低いから倒産したんだ』もしくは『だからあの社長はダメなんだ』などという陰口を叩かれないようしっかりと学んでおきましょう。とはいえ事実として色々な社長がいるもので、数字はまるで苦手だけど業績好調なんて会社はいくらでもあります。

変に身構えて、『税務の事が難しすぎて起業なんて無理』なんて悩む必要はありませんよ。

・法人は給与所得控除が使える

役員報酬として給与を取ることにより、売上から必要経費を控除した金額からさらに給与所得控除(役員報酬の一定金額を必要経費とみなして所得から控除する)することで、課税される所得を小さくすることが可能です。

・家族への給与
個人事業主は原則として家族に給与を支払えません。
※青色事業専従者給与として税務署へ届出をした場合にのみ認められています。

法人は労働の対価として認められる金額を給与として家族に支払うことが可能です。ただし、実際に業務にあたる必要があります。

※所得分散をすることで経営者の所得税や住民税を節税することも可能です。

・所得税と法人税の税率差
個人事業主の所得税は超過累進課税の為、所得が増えるほど税率が高くなっていきます。法人の税率は一定ですので、所得が増えるようであれば法人のほうにメリットがあります。

・法人は経費の適応範囲が広い

個人事業主は家計と事業用の判断基準が曖昧で必要経費と認定されないケースがあります。法人の経費は基本的に事業活動のために支出されたものと認定されやすい傾向にあります。

・消費税の免税効果

個人事業主・法人共に創業から2年間は消費税が免税となります。

※例外として第1期の半年間の売上と給与等の金額がいずれも1,000万円を超える場合は適用外となります。売上規模の小さなところでよく見られることですが、個人事業主での創業から2年後に法人に変更することで、4年間消費税の納税免除が可能となります。

結論

個人事業/法人のメリット・デメリットをあれこれ考えるよりも、あなたにふさわしい選択をすることこそが正解と言えます。

ビジネスプランをビジネスモデルまで引き上げよう

ここから先はあなたのビジネスプランを実際に使えるビジネスモデルまで精度を上げていく作業に移ります。最終的にはそこに数字を落とし込むこと(STEP3)で、あなたの会社が何をして、何にいくら経費を使用して、どれくらい稼ぎ、いくら残し、何に投資をして、将来的にどうなっているのかを示していきます。

ここでは以下のことだけイメージしましょう。

・ビジネスモデル(開業プラン)=収益モデルをイメージすることです。

※あなたが思い描くビジネスで実際にお金が動くのかだけを考えよう

□店舗(自宅可)小売(インテリア/ファッション/食品/生鮮/飲食/雑貨/家電/他)

□インターネット通販

□卸売

□セミナー・スクール運営

□タイアップや関連業界コンサル(無形ビジネス/トラベル)

□代理店

FC

□開発代行

□ホテル・宿泊関連施設運営

□他

ここまできてようやく事業計画書の作成に着手することになります。

次回STEP3では具体的な事業計画について学んでいきましょう。

 

付録

認定講座を企画する際に抑えておきたいポイント解説

*動画編集やPCスキルなどだけではなく、料理教室やボイトレから漢方薬取扱い講習など多岐にわたる講座やスクールを対象としてお伝えするものです。

あなたの新規事業は開発コストの低い認定講座(スクール)だと仮定して、私がこれまでに自社で運営してきた認定講座の経験から以下の4項目に対して具体的なアドバイスを実施します。

  1. 参加しやすい
  2. 参加者に分かりやすいメリット
  3. 合格/修了後の自分が想像できる導線の整備
  4. あと一歩の差別化

1/参加しやすい
講座は全5回でも812回程度でも構わないですが、初級/上級の二つのコースを用意してください。その上で経験者や有識者は初級講座を受けることなく上級講座を受けれるように整備することです。そのために必要となる施策としては、スキル確認のための特別無料講座をおススメします。また全812回もの講座に顔をだす面倒や、初めに料金を支払うというハードルは意外に高いもので、受講生募集に苦戦するだけでなく、講座内容の選定に担当者が苦労することが予見できる状況下においては、初回の特別無料講座は非常に有益なものとなります。

2/参加者に分かりやすいメリット
初級講座を修了された方で、次の上級講座に進まれる方は2割も居ないのではというのが私の見立てです。その為、上級講座の円滑な開催の為にも、参加しやすく明確なメリットのある初級講座を開催して、多くの参加者を集めることが重要であり、そうすることが上級講座の円滑運営に繋がります。具体的な施策は初級講座修了者に向けた関連機材や付随商品を特別価格で永続的に購入できる権利を付与するものです。何回買い物すれば初級講座受講料金の元が取れるという事を参加者が簡単にイメージできるようにすることを目的としています。

そのためには、自社での取り扱いがない場合、それらを取り扱う会社と業務提携を結ぶ必要があります。いかに低コストで始められる認定講座やスクール運営だとしても泥臭い営業と緻密な段取りを怠っていては事業が軌道に乗ることはありません。

3/合格/修了後の自分が想像できる導線の整備
ここでは上級講座修了者に向けたメッセージをいかに打ち出すのかが課題となります。

上級講座も初級ほどではないにせよ、途中解約をさせないことが大切であり、尚且つ修了後の生徒さんが自身の生活の変化をイメージしていただけることが何より大切です。

例えば、講師の一人として迎え入れることも一つでしょうし、上級講座修了者の作品の展示販売から、その資格を活用したビジネススタートに向けたサポート体制を提供する仕組みづくりは必須です。

4/あと一歩の差別化
通り一遍等の講座、自社の目先利益を率先させた構造では、この事業に取り組む苦労の対価は得難いと言えます。お客様の利益と自社利益の共存となれば難しい判断を迫られるかもしれませんが、認定講座やスクール運営が目指す利益は生徒さんのその後の人生とともにあることを理解しましょう。

何度もイメージを繰り返し、自分だったら受講したいか、競合はどのようなサービス内容なのか、修了後の生徒さんのその後の活躍の情報は拾えるのか、そういうことに注目してビジネスモデルを構築していくのです。

 

ここに書いてある100倍の情報と、実際に実施していく力を必要とするならワンポに参加すべきです。お待ちしておりますが、その前に次回STEP3をご覧ください。